Nature Photograph & Essay  里山自然探訪 2004年5月14日号
                                             撮影:神戸市西区/2004年5月5日
コムクドリ
 
鳥屋さんの情報によるとコムクドリが出ているらしい。春秋の渡りの時期に、昔は神戸周辺でも沢山の群が見られたそうだが、最近はすっかり稀な鳥となってしまったようでなかなか出会う機会もない。チャンスは逃してはならない。夜が明けるのを待ちかねて早朝の探鳥に出かけることにした。
 コムクドリが見つかるのは川沿いのまばらに生える木や公園などが多いから、いつもの観察ルートの河川敷のヤナギの疎林に目星をつけて探すことにした。早々2、3本目の木で、ギュル、ギュルというムクドリの声に何となく似ているが
もっと子供っぽい鳴き声が、展葉したばかりの浅緑の葉の重なりの奥から聞こえてきた。どうやら狙いは的中。お目当ての鳥を難なく探し当てることができたようだ。
 暫く息を潜めて地鳴きのする辺りを見ていると、小枝の揺れる辺りに灰色の小さな丸い頭が葉影に見え隠れする。その姿は間違いなくコムクドリだ。ぐぜり鳴く声も、次第に木のあちこちから聞こえ始める。鳥陰や声の様子から十数羽の小さな群らしい。
 鳥達が警戒心を緩めた頃、朝の日差しも少し明るくなり、横に張り出た枝で蛾の幼虫を食べたり、水浴びで濡れた羽根の毛繕いを始めたりと、動きも一段と賑やかにそして大胆になってきた。渡りの途上のコムクドリの滞在期間は数日から1週間位と短いのが通例。陽がすっかり登るまでの貴重な時間、立夏の小さな珍客とじっくりつき合うとしよう。

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