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Nov.27,2003/セトウチフキバッタ
 初夏の頃、フキの葉をほとんど覆いつくすほどに、バッタの幼虫が群れているのを見かけます。葉は穴だらけで、ボロボロです。この食性がフキバッタの名の由来です。
 フキバッタの仲間は、成虫になっても申し訳程度の小さな翅なので、飛ぶことも、両翅を摺り合わせて鳴くことも出来ません。翅の退化した昆虫は移動力が弱いため、オサムシの仲間のように、地域ごとに種分化するものが多いですが、フキバッタの仲間も御多分にもれず、キンキ、キイ、クサツ、タンザワなど地名を冠した種がいます。
 もうほとんど他の昆虫の少なくなった季節に、未だ青々としたキク科などの広葉草本を見つけ、食事が終わればその緑のテーブルの上で、ゆったりと暖をとっている惚け顔のセトウチフキバッタの小さな翅を見ると、翅の成長に使われるはずのエネルギーが、はたしてどの器官を進化させているのか、ついつい考え込んでしまいます。