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Jan.29,2004/エノキ
  今日は、前回のお菊虫で登場したエノキの話。エノキは谷川に沿って歩けばよく出会う木なので、昆虫、特に蝶の名好きな人以外は、特別気にも止めない木だろう。オオムラサキ、テングチョウ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウなどのチョウ類を始め、多くの昆虫の食樹だから虫屋には大切な木なのだ。が、かつては虫好きばかりが崇める木ではなかったのだ。
  道祖神の守り神として、昔は村境、橋のたもと、道の端にエノキは植えられた。小高い丘、塚の上、峠に残る巨木はその名残りの木で、一里塚として植えられたものも多い。 漢名の朴は占いに使われた木の証であり、和名は疫病や悪霊を退ける道祖神の「さえのかみ」の神木としてのサエノキに由来するともいう。人が最も古くから植栽した木も、この神木、エノキなのだ。
  川岸の盛土の上の古い墓に、お菊虫を守るように一人堂々と立つエノキの巨木。これも、きっと神の樹に違いない。