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Mar.11,2004/シダレヤナギ
 シダレヤナギが艶やかな緑色を帯び、長く垂れる枝の所々に花芽がほころび始めた。時々吹く柔らかな春の風に揺れる様は、なよなよとした麗人のようだが実はこれは雄株で、雌株の枝は伸びても1m足らずだからどうひいき目に見ても麗しいとは言いかねる。街路樹や川沿いに植えられる柳並木は、枝が2〜3m程の長いものばかりだから、日本で見るシダレヤナギはほぼ雄株というわけだ。だから、白毛の種子が風に舞う「柳絮飛ぶ」光景を見られるのは、もっぱら雌株もある原産地の中国での話なのだ。政治や文化を中国に習った古の日本人は、美しい柳並木の唐の都市を真似、平城京の街路樹にしなだれの美しいシダレヤナギを導入した。
 街路樹や川縁に枝を長く垂らすオオシダレと呼ぶシダレヤナギの雄株ばかりの日本では、「柳絮飛ぶ」という風情のある言葉で句をひねる機会がないのは何とも寂しい気もする。