「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞかなしき」の歌に託して、農家の若い娘に山吹の一枝の花を無言で差し出された古人の逸話を思い出しながら花を眺め続けていると、登山道を少し離れた谷川のせせらぎの音に重なって、ルリビタキやキビタキの美しい囀りがのびやかに聞こえ、晩春は一気に去り、山はすでに初夏の趣である。
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| Apr.24,2004／ヤマブキ |
| 谷川の岸際のヤマブキは、川面に長い枝を幾本も長く伸ばし、鮮やかな黄色い花を枝を覆い尽くす程に咲かせている。時折射す木漏れ日に山吹色の眩しい光を放ち、その刹那辺りは一瞬明るく照らされる。 「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞかなしき」の歌に託して、農家の若い娘に山吹の一枝の花を無言で差し出された古人の逸話を思い出しながら花を眺め続けていると、登山道を少し離れた谷川のせせらぎの音に重なって、ルリビタキやキビタキの美しい囀りがのびやかに聞こえ、晩春は一気に去り、山はすでに初夏の趣である。 |