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2001年8月

・イネの花の開花は晴れた日で、出穂当日か翌日の午前中。殻が開きはじめると6本の雄蕊が出て、伸びきった頃雌しべの先が出て来る。花粉の寿命は何と2〜3分で、受粉が終わると雄蕊を外に残したまま殻を閉じてしまう。開花せずに籾の中で受粉できるが、葯が中に残ると内部で腐敗して品質が低下するらしい。開花は1〜3時間の出来事であるから、意外とイネの花を見る機会は少ないのかも知れない。花を見ているとキアシマメヒラタブなどの小さな昆虫が集まっている。虫媒花でも無いのに虫がたくさん集まるものだと不思議に思いながら畦を歩いていると、燕の群が水田すれすれを掬うように何度も往復しながら飛び回っている。周辺の水田を見回してみるが、ツバメが群飛しているのは開花中のこの区画だけである。イネの花に集まった昆虫を狙って、ツバメが採餌にやって来たというわけだ。広い水田の決まった一角だけに何故ツバメが群れ飛ぶのか、長年不思議に思っていたが、その謎が今日やっと解けたのである (神戸市西区平野)。(8月30日記)

イネの花

・貸し農園で作業をしていると、見知らぬ人がよく話しかけてくる。近所の農家のおじさんやおばさん、農園を借りたい人などである。取れ立て野菜や種を頂くこともある。ワタの種も農園を借りた直後にヒマワリの種と一緒に貰った。そのワタが丁度花期で、毎日薄黄色の花を見ることができる。綿が、ワタいう植物の実から収穫して作られることの不思議さ、「アンクル−トムの小屋」に描かれる奴隷の過酷な綿摘み作業のシーンなどもあって、まだこの植物を見たことのない小学生の頃、最も気になる植物の一つであった。高学年になった時、校長室の前に置かれた一鉢のワタが花を咲かせた時の感動を今でも良く憶えている (神戸市西区平野)。(8月20日記)

ワタ

・出穂したイネは、登熟期に入ると一粒一粒日ごとに膨らんで来る。あとは田んぼの水を落として稲刈りという段取りなのだろうが、淡い緑の実を良く見ればあちこちにカメムシの姿が目につく。これに吸われた実は斑点米となってしまう。日本に生息するシラホシカメムシの5種全てがイネの害虫という。人手が少なくなって荒れ果てた山林や減反で雑草地となった所がこの虫達の越冬場所となっていて、トゲシラホシカメムシなどが黄金色に実るはずの稲穂を襲うらしい。一見生産とは直接関係のなさそうな草刈りも、大切な農作業の一つな訳けである(神戸市西区平野)。(8月12日記)

トゲシラホシカメムシ

・立秋の朝、ため池周りを歩いてみる。酷暑と殆ど降雨を見ない草原の植物は、朝露すら乏しい所為か何となく生気がない。花らしい花は数輪のツユクサだけ。これだけで朝のすがすがしさを演出するには物足りない。その脇のメヒシバの葉に、ハラビロカマキリの幼生が数匹止まっている。翅芽も随分大きくなって、羽化もそろそろである。虫達の秋の準備も着実なのを見れば、猛暑ももう長くはないとやっと安堵するのである(神戸市西区神出町)。(8月7日記)

ハラビロカマキリ

・水田を横切る小さな車道ののりにメハジキの群落があった。尋常でない日照りと久しくない降雨で、すっかり生気を失った草地で、すっと伸びた茎の先に淡紅紫の唇形花をつけたこの植物だけは不思議と元気に見える。この和名は、短く切った茎をまぶたに挟んで遊ぶことに因むらしいが、埃を沢山被った町中のものはこんな戯れにはよろしくないだろうと、夢のないことをつい考えてしまう(神戸市西区神出町)。(8月3日記)

メハジキ

2001年7月

・周りはため池と耕作地ばかりで、おおよそクワガタムシなど居そうにもない小さな墓地で、今年もカブトムシやコクワガタを見ることができた。水路の淵を囲むように、猫の額程の広葉樹の林がここだけ残っている。樹林の殆ど無いこの辺りで、樹液に群がる沢山のコウチュウを見られるとは、殆ど奇跡のように思えてならない(神戸市西区神出町)。(7月29日記)

コクワガタとアメイロアリ

・ハスの花が、ため池の湖面を飾っている。大暑を待たずとも、酷暑に悩ませられることとなったこの夏。風に揺れる薄紅色の花びらの重なりは、暑さに半ば朦朧とした目に、浄土の風景と紛うようである(神戸市西区岩岡町)。(7月26日記)

ハス

・猛暑は辛いが、毎朝アサガオの涼しげな花を楽しめるのは救いである。子供が夏休みに学校から持ち帰った鉢植えと、貸し農園のコンポストの日除け代わりに植えた株がそれぞれ数輪ずつずつ咲いてくれる。草むらもヒルガオの季節となった。早朝の田んぼの際では、薄紅色のラッパ状の花冠が朝露に濡れて爽やかだ(神戸市西区平野町)。(7月22日記)

ヒルガオ