マヤランCymbidium
macrorhizonは常緑林内に生える多年生の腐生植物で、本州(栃木県以西)、四国、九州、沖縄に分布する。常緑照葉樹林内の腐植質の湿った林床に生育し、菌類と共生する。シュンランの仲間だが、葉のない無葉ランであり、花時以外にはなかなか見つけるのは困難である。
腐生植物は植物体に光合成で自活する能力がなく、菌類と共生して栄養素を得て生活する種子植物である。マヤランの共生菌は、担子菌のベニタケ科(Russulaceae)、イボタケ科(Thelephoraceae)、シロキクラゲ科(Sebacinaceae)という菌類である。さらに、これらのキノコ類は特定の樹種の根のみで共生するため、マヤランの生育には、こららの二重の共生関係の成立が条件となる。
地下に発達した多肉の根茎の先端部から、地表に10〜30センチの花茎を伸ばし、7-10月に茎頂に1個から数個の花をつける。花茎が緑色をしており、葉緑素を持っている。さらに、果実にもシュンランと同じように葉緑素があり、光合成によりタネを充実させ、養分を補っている。
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