ヒメスズメバチの毒針                           
  「トイレにスズメバチがいるよ!」と家内が血相を変えて呼びに来た。
  恐る恐るトイレのドアを少し開けて中を覗くと、ブンブンと凄まじい羽音を立てて天井付近の壁をなぞるように飛んでいる。

 これを退治しないことにはトイレは使用禁止のままだで困るから、早々捕虫網を持ってきて捕獲開始だ。スズメバチがここからから飛び゙出して来たら拙いので、トイレの中で網に収めたいのだが、中に入れば刺されそうだからドアの隙間から網を差し伸べて使うしかない。壁に這うように飛んでいるのを、丸い網の枠で掬うのはなかなか困難な作業で、、背中に汗をかきながらようやく網に収めたのだった。
 
 お気の毒とは思ったが、大事にならぬよう網の中で潰してしまった。このスズメバチをよく見てみると、尻の方が黒っぽくて、やや小振りだ。ヒメスズメバチだった。オオスズメバチに次いで毒性が強い。羽音が凄まじいので、大きさの割に威圧感はなかなかのものだ。
 
 死骸の尻を見ると毒針が飛び出ている。怖い者見たさだ。解剖して毒針を取り出して見ることにした。注射針のように真っすくかと思ったかが、先が少し湾曲している。敵に頑強な脚で取り付いて尻の先を曲げて刺すから、真っ直ぐよりこの形の方がしっかりと刺せるのだろう。
                                           〔撮影:2006年9月20日/兵庫県神戸市