黄色っぽい部分は花だと、誰もが思うことだろう。
だが、よく観ると花弁らしきものがない。
油皿に見立てられた輪生した5枚の心形の葉の上方に、
方々に何本が伸びた包葉がある。
その中ほどに、花粉を着けた小さな蕊が数本見えているが、
これが雄蕊というのはすぐ分かるだろう。
さて、雌蕊はどれかといえば、柄の先が丸い玉状になったそれである。
さらに、長い壷状のものも見えていて、これが胚状花序。
その縁の4つの平たい部分は腺体で、濡れたようにみえるのが蜜である。
どうも花の構造の説明がばらばらで伝わりにくいだろうが、
花が尋常な構造ではないのだからこれは仕方がない。
雄蕊も雌蕊も各々1本の花柄で、がくも花弁も退化していて、
数本の花柄の先が蕊になったのである。
花は受粉をするのに必要な最低限のものだけが残ったということだ。 |
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