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2000年9月

・周りの水田も随分とイネの刈り取りが進んでいる。見晴らしの良くなった田んぼには、無数のカエルやバッタが飛び回っているものだったが、そんな光景はもう昔語りである。今年もイナゴ(コバネイナゴあるいはエゾイナゴ)を探して畦を歩いてみるがただの一匹も見つからない。収穫までに何度も蒔かれる除草剤や農薬の影響だろうか。色々思案しながら歩いていると、赤い花が目に飛び込んできた。稲穂も消え殺風景な畦に、ヒガンバナが数株咲いている。まだまだ続く残暑にこの花のことはすっかり忘れていたが、間もなく白露の季節も終わり秋分も近い(神戸市西区平野町)。 (9月20日記)

ヒガンバナ ウスバキトンボ

・連日の雨で明石川もかなり増水し、河川敷の植物もなぎ倒されているものも多い。しかし、ツユクサやオオイヌタデなどは十分な水分補給で勢いを取り戻したのか、再び花を一杯に咲かせている。そんな川縁にイネの群落を見つけた。しっかりと黄金色に結実して、川辺に豊穣の秋を演出している。縄文時代から幾千年も栽培され、様々な育種の手を経て自然から隔離され続けているこの植物が、(原種が川に生える植物であったとはいえ)繰り返される増水や濁流にもめげず野生の姿を見せているのには感動した。その周りにはイヌビエやケイヌビエの群落が取り囲み、水田の植生が見事に再現されているのにも驚いた(神戸市西区平野町)。 (9月16日記)

川縁のイネ ツユクサ
 

・2ヶ月で15ミリにも満たなかった神戸地方の雨も、10日からは台風の影響で連日の降雨となり、この数日で十分に100ミリは降っただろう。草木も一段と元気を取り戻し、休耕地はアキノエノコログサの花穂ですっかり覆い尽くされ、オオオナモミ、メドハギ、アメリカセンダングサも次第に花が増え、セイタカアワダチソウの花芽が目立ってきた(神戸市西区平野町)。 (9月15日記)

スズメウリ ツルボ

・本当に久しぶりにまとまった雨が降った。白露らしい風景を期待して、ため池の周りを歩いてみる。はたして葛の葉には、朝露が柔らかい陽に銀色の無数の光を輝かせていた。熱帯夜もっかり減り、何とか秋めいてきた所為か、イノコズチやヒナタイノコズチの花が咲き、車道の周辺にはヌルデの淡緑黄色の花房やホウキギクの花芽もチラホラ見られるようになった(神戸市西区平野町)。 (9月10日記)

クズの葉の朝露 キマダラセセリ

 

・白露を迎えた朝、付近の水田を歩いてみる。雨らしい雨も殆ど無いだけに結露も少ないのか、期待に反して朝露に濡れた草木など見あたらない。しかし、耳を澄ませばアオマツムシの大きな鳴き声の間に、エンマコオロギやススムシなどの秋の虫の声が確かに聞こえる。林縁ではアカメガシワの黒い種子が艶やかに輝いて、木の実の季節の到来を教えてくれる(神戸市西区平野町)。 (9月7日記)

アカメガシワ オオホシカメムシの終齢幼虫(この虫はアカメガシワが好物)

・ここ数日は時に曇り空の日もあって、少しは雨も降ってくれたので、野山の草木も幾分息を吹き返したようだ。昨夜の雨の気配が残る水田周りを散策すると、ツルマメが俄にツルを伸ばし、枝の間に小さな花をつけている。クズも葉群の間から花房がチラホラ伸び上がり、朝露に濡れた紅紫の花弁が美しい。古の歌人はこの花よりむしろ葉に心を動かされたという。派手な花房をも覆い隠してしまうこの大きな葉の所為らしい(神戸市西区平野町)。 (9月2日記)

クズ